永六輔さんの命を奪った “高齢者の肺炎”
2016-07-16
「上を向いて歩こう」や「こんにちは赤ちゃん」の作詞家としても有名だった永六輔さんが2016年7月7日に亡くなりました。83歳でした。
2016年7月13日の日経Goodayのコラム 「病理医の視点」 で、永六輔さんの命を奪った高齢者の肺炎にどう向き合うかという文章が載っていました。書いているのは、近畿大学医学部附属病院臨床研究センターの榎木英 介先生です。
厚生労働省の人口動態調査(2014年)によれば、肺炎は死因の第3位。病理医として多くの亡くなった方を解剖してきた榎木先生は、がん、心筋梗 塞、脳血管障害など、さまざまな病気の “最後” すなわち死因が肺炎だったというケースに多く遭遇するといっています。
高齢者が肺炎にかかりやすい理由は、2つあると書いてありました。一つ目の理由は、加齢に伴う免疫力の低下です。若いときなら耐えられた感染症 が、高齢者にとっては生命を脅かす原因となります。近年は抗生物質が効かない耐性菌による肺炎も増えており、免疫力が弱った高齢者にとって、より 脅威が高まっているそうです。
もう一つは、飲み込む力の低下です。加齢とともに、飲み込みに関係する筋肉の力が弱まり、「飲み込む」 という動作が上手くいかなくなる。そして食べ物が口の中にいる細菌と一緒に気管を通って肺にまで達して嚥下性肺炎を起こしやすくなるそうです。コラムの最 後に
榎木先生はこう書いています。
「少しでも健康で長生きするためには、嚥下力の低下を抑えておきたい。そのためには、栄養をよく摂り、食べ物をよく噛み、嚥下力の低下を可能な限 り抑えるための体操をし、そして口の中を清潔にすることが重要だ。私たちにとって身近な、高齢者の肺炎という問題をあらためて考えさせてくれた永 さんのご冥福をお祈りしたい。浅田飴でのどを潤しながら」。
配信 Willmake143
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