小太りのほうが長生き?
2019年3月15日号の週刊朝日が、昨年12月に日本老年医学会が公表した「高齢者肥満症診療ガイドライン」の中で、高齢者の肥満が認知症の発症リスクを下げることが示されていると伝えています。
認知症と心血管疾患(心筋梗塞や狭心症など)の項目には、こう記されています。
▶高齢者の肥満は認知症の発症リスクにならない。むしろリスクを下げる。
▶反対に、BMI(肥満度を示す指数)が低かったり、体重が減ってきたりしているケースは、認知機能の低下や認知症のリスクになるので注意。
▶高齢者の肥満は、心血管疾患のリスクになるかどうかはわからない。
高齢者は太めがいいというのは、国内に住む健康な60歳以上の男女、6千人を対象にした約19年間の追跡調査、「日米共同プロジェクトJAHEAD (長寿社会における中高年の暮らし方の調査)」でも明らかになっているそうです。
JAHEADをまとめた東京大学高齢社会総合研究機構特任講師の村山洋史さんは、シニアは意識しないと体重が維持できないと話しています。
脳卒中や心筋梗塞と言った病気は、肥満がリスクだったはずですが、シニアではやせているほうがリスク。
では、どんな太り方が理想なのか?「筋肉も脂肪もついた状態」だそうです。ご飯などの糖質をたっぷり摂れば、糖質は脂肪に変わり、体重を増やしてくれます。でも、その太り方はお勧めできないと書いてあります。
筋肉が減って脂肪だけがついた「サルコぺニア肥満」になりやすいからです。
先のガイドラインにも、サルコペニア肥満は普通の肥満に比べて転倒や骨折をしやすく、要介護や死亡リスクを高めると注意を促しています。筋肉と脂肪がバランスよくついた太めシニアが理想的です。
それには、肉や魚、卵などさまざまなたんぱく質をしっかり摂ることです。体重を増やすためのポイントは三つです。
一つめは「動いて、食べる」、二つめは「食べ物の健康情報に惑わされない」、三つめは「週に1度の体重測定」。食の情報については、ちまたに流れる「よい食材・よい食事」は、おおかた痩せるためによいものです。
シニアにとって必ずしも良いものとは限らないのだそうです。シニアが目指すのはぽっちゃり体形。
ただし、中年期の肥満は、高齢期の認知症発症リスクであるので注意する必要があります。
配信 Willmake143