コロナ・ストレスから子ども守れ
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための休校や外出自粛により、児童・生徒を含むU22世代やその家族が「在宅ストレス」にさらされています。長期化する異常事態をどう乗り切ればいいのか。子どもの心身の健康や学習環境づくりに詳しい専門家への電話インタビューを実施し、コロナ危機で悩む親子への「処方箋」を日経STYLEが2020年4月18日に配信していました。1回目の専門家は明星大学の星山麻木教授です。
■「笑い」が減ったら注意
――長期の休校が子どもに与える影響をどうみていますか?
「子ども同士の関わり合いが減ったり、失われたりすることによるストレスが最も心配だ。学習の遅れへの対策よりも前に、子どもが心のバランスを崩してしまうリスクを考えるべきだ。ひとり親が働きに出なければいけなかったり、在宅勤務でも子どもに向き合えない時間が長かったりして、孤立してしまう子どももいるはずだ」
――子どものストレスはどんな形で現れますか?
「一日の生活リズムが乱れたり、会話が少なくなったりする。イライラが増え、普段は使わない否定的な言葉を発するケースもある。
わかりやすいのは『笑い』が減ること。友達とふれあうことで解消されるはずのストレスが、そのまま増しているサインとして、大人は受け止めないといけない」
――どう対処したらいいでしょうか?
「子どもの情緒の安定に最も大切なのは良好な親子関係だ。これはいまや、発達支援を考える世界の研究者にとって共通認識になっている。
そして良好な親子関係を守るために必要なのは、子どもと何かを共有したり、共感したりすること。その機会は大人が意識的につくらないといけない」「一緒に歌ったり、踊ったり、絵を描いたり。料理したり、お掃除したり……。室内で飼える小動物やプランターの植物など、命のあるものを一緒に育てるのもいい。
料理だったら献立から一緒に考えるとか、楽器の演奏や自作コントを動画に記録して、友達とも共有するとか、いろいろ工夫してみるのも楽しいと思う」
――長期戦を想定したとき、どんな心構えでいたらいいでしょうか?
「緊急事態だからこそ、できないことではなくて、できることを見つけようという前向きな姿勢が大事だ。
もしひとりぼっちで食事をせざるを得ない子がいたら、自分はその子のために何ができるのか、そういうことを考えられるようになる。
それは本当に大切なものは何かを問うきっかけにもなるだろう。家族の大切さを再認識し、家族という単位で何ができるのか、ポジティブに問い直すチャンスではないだろうか」
配信 Willmake143