唾液力
2020-01-07
人生100年時代、病気を未然に防ぎ、清々し心と健やかな体で毎日をタフに生き抜くには、自らを助ける智慧を少しでも多くもっていることが大切です。
婦人画報2020年1月号は “100歳佳人” に必要な12のちからとして、初回は「唾液力」を取り上げています。
さまざまな研究成果によって、いま急速に唾液の力が解明されてきています。
「唾液力とは量だけでなく、質も含めた唾液の総合的な健康具合のことです。唾液中には、健康に大切な成分がわかっているだけで100種類以上。想像以上に機能性の高い液体なのです」と神奈川歯科大学大学院の槻木恵一教授は言っています。
いま注目されているのは、唾液腺から産出されるBDNFという成分です。
BDNFは脳の神経細胞をストレスなどのダメージから守り、脳神経細胞の栄養となり、記憶を司る脳の海馬で多く見られます。
ストレス発生時には海馬での量が一時的に減少しますが、唾液や血中濃度は逆に上昇し、脳のストレス耐性を回復、強化する成分となるそうです。
「BDNFの減少は認知症やうつ病の発症リスクになります。逆にBDNFの産出量を増やせば認知症、うつ病の予防効果も期待できます」と槻木教授は述べています。
健康な成人の唾液量は、1日1000〜1500ml。人間が1日にかく汗の量が500〜1500mlとされていますから、唾液は平常時でも、酷暑の中で汗だくになったときの汗と同じくらいの量が出ていることになります。水分をこまめに摂ることも大切です。
さらに、唾液中に最も多く含まれている成分IgAを増やすことは、唾液の質を高めるためにも重要。
抗菌物質IgAは、体の免疫力を高め、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎、風邪、インフルエンザなどの感染症予防に重要な役割を担っています。
その方法として有効なのは、乳製品を毎日継続して食べること。特にヨーグルトが効果的。唾液中に含まれる抗菌物質IgAの濃度を高める作用があるからです。
根菜類、海藻などの食物繊維や、ぬるめのお湯で抽出した緑茶にも唾液中のIgAを増やす作用が確認されています。
配信 Willmake143
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