脳梗塞「血栓回収療法」が進化
2020年8月5日付の朝日新聞が、脳梗塞を起こした直後に患者の脳の血管に小さな医療器具を入れて原因となっている血栓(血の塊)を取り除く「脳血栓回収療法」が進化していると報じていました。
記事によれば、川崎市内の会社員、高橋登さん(61)が体に異変を感じたのは、5月の連休最終日でした。翌日からの出勤に備えて早めに寝ようと、妻に「おやすみ」と声をかけると「顔つきが違う」と心配されたそうです。
妻によると、一点を見つめ、左手が動かせなくなっていたが「大丈夫だ」としきりに話していたといいます。
救急隊員の口から「脳梗塞」という言葉を聞いたことを覚えていて、ぼんやりした意識のなかで死を覚悟したそうです。
市内の聖マリアンナ医科大東横病院に運び込まれ、血栓を除去する治療を受けて、退院し、もとの暮らしに戻ることができたそうです。
脳梗塞は年間約6万人が亡くなっています。不整脈や心房細動によって血栓ができて脳血管に飛ぶものと、脳血管そのものに血栓ができるものがあります。
後遺症を残さないためには、できるだけ早くに血栓を除去して脳細胞のダメージを最小限にすることがカギになります。
同病院の植田敏浩・脳卒中センター長によると、高橋さんが受けた治療は脳血栓回収療法です。
発症から4時間半〜24時間でCTやMRI検査で脳梗塞巣がまだ小さくて大きな血管が詰まっている場合、効果が期待できるとのことです。
足の付け根に切れ目を入れカテーテルという細い管を通して脳内の血管に届かせ、血栓を取り除く療法です。
急性脳梗塞への治療は治療薬を静脈点滴して血栓を溶かす「tPA静脈療法」が05年に承認されています。
できるだけ早い効果を得るため、当初は発症後3時間以内の投与が必要とされていましたが、その後の臨床試験などの結果、発症後4時間半以内まで使用が可能となりました。
脳血栓回収療法ができない小さな血管の詰まりには効果が期待できるのが利点だそうです。
配信 Willmake143