心をケアするハンドセラピー
2022-03-26
元看護師の山本千鶴子さんは10年ほど前、「幸齢者ハンドセラピスト」の肩書で活動を始めました。
高齢者施設に赴き、利用者の手にそっと触れながらたわいもない話をする活動を週刊朝日2022年3月25日号が紹介しています。
「手は最も抵抗感なく触らせてもらえるパーツです。リラックスするうち、うなり続けていた方が静かになったり、普段しないような思い出話を始めたり。会話の内容を施設に伝えて、介護計画に生かしたこともありました」とその効果について山本さんは語っています。
浜松医科大学の鈴木みずえ教授(老年看護学)は、高齢者のケアにおいてハンドセラピーが果たす役割は大きいと話しています。「認知症患者の不穏や攻撃性を和らげる効果がある。高齢者施設のスタツフが実践したところ、健康状態の把握と早めの処置につながり、体調を悪化させて入院する利用者が減った例もありました」。
シニアだけでなく、ストレスを抱える人のケアにも有効だそうです。
がん患者やICUの入院患者の場合、不安や不眠が改善して鎮静剤の量が減った、呼吸や脈拍が安定した、という報告があるそうです。
近年は、企業による社員のメンタルヘルス対策や、不登校の子のサポートに使われるケースも出てきたといいます。鈴木教授は「手を触られているときは、お互い向き合ってアイコンタクトがとれる体勢になる。足や背中を触られるよりも『あなたが大切』というメッセージをダイレクトに受け取れる」と話していました。
配信 Willmake143
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