ハッピーホルモン
年齢を重ねると、病気やケガ、また新型コロナウィルスの感染リスクなど、さまざまな理由から外出する機会が減りがちです。そんななか、気になるのは離れて暮らす大切な人の健康です。
そこで頼りになるのが、不安やストレスを軽減してくれる“ハッピーホルモン”。
このホルモン、大切な人に直接会えなくても電話で相手の声を聴くだけで簡単に増やすことができるということをNHKガッテン!2020年11・12月号が紹介していました。
近年問題となっている「社会的孤立」。家にこもってばかりだと、不安やストレスが蓄積するだけでなく、健康にも大きな影響を及ぼします。
とくに今年は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、高齢者の孤立が大きな問題になっています。
この問題に詳しい、束京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は、「人とのつながりは、外に出て集まって維持するもの。高齢者にとって、人とのつながりが非常に重要です」と話します。
今年3月にはイギリスの著名な医学雑誌に「高齢者の社会的孤立は、循環器・免疫力・認知機能にかかわる病気のリスクを高める可能性がある」といった内容の声明が発表されたそうです。
そこで番組が注目したのが、“ハッピーホルモン”です。正式名称は「オキシトシン」というホルモンで、親しい人と触れ合ったときなどに、脳内で分泌されます。
不安やストレスの軽減、長引く痛みや認知症の症状の改善に働くなど、さまざまなうれしい効果が期待されているのですが、じつは触れ合わなくても「電話」などで声を聞くだけでも分泌されることがわかってきています。
では、なぜオキシトシンは不安やストレスの軽減、痛みの緩和などに効果があるとされているのでしょうか。
不安やストレス、痛みなどが加わると、脳の中にある「扁桃体」という神経細胞の集まりが興奮して心身の緊張や不安感が高まります。
そんなときに活躍するのが、脳の視床下部で作られるホルモン、オキシトシンです。
親しい人が体に触れたり、その人の声を聞いたりして、その感覚が脳に伝わると、オキシトシンが分泌されて扁桃体に働きかけ、興奮を鎮めるのだそうです。
スウエーデンでは、世界に先駆けてオキシトシンが持つ力に注目し、その働きを医療に応用しようと研究が進められてきました。
現在、医療現場では、体に触れることでオキシトシンを分泌させ、痛みなどを和らげる「タッチケア」が行われています。
実際に、慢性的な腕の痛みに悩まされていた患者がタッチケアによる治療を1週間受け続けたところ、「痛みが軽くなり、体がとても楽になった」と言います。
配信 Willmake143